ホルモンの変化

出産がきっかけのうつ病

特に女性の場合、ホルモンバランスが崩れることでうつ病が発症する場合があります。たとえば、出産時。卵巣で作られる「女性ホルモン」のひとつに「プロゲステロン」があります。体温を上げたり食欲を強めたりする役割があり、出産に向けて分泌量がどんどん増加。そして、出産後に急減します。

このように急激なホルモンバランスの変化は、うつ病に関係すると考えられています。「GABA」という神経伝達物質には不安を抑える役割があるのですが、プロゲステロンが減るとGABAの働きが弱まるとする見解があるのです。そのため、出産を機にGABAの働きが弱くなり、不安の強い状態が続くと、いわゆる「産後うつ病」になってしまい、無力感や不眠などに苦しむ場合があります。

更年期がきっかけのうつ病

女性ホルモンには「エストロゲン」もあります。通常、エストロゲンとプロゲステロンはバランスよく分泌されているのですが、このバランスが崩れてしまうことも。年齢を重ねた女性が閉経を迎える時期を「更年期」と言いますが、この時期にはエストロゲンとプロゲステロンの分泌が減少していきます。そして、エストロゲンに対してプロゲステロンの量が少なくなると、気分がふさいだり不安に襲われたりすると考えられているのです。

更年期の女性には、ホルモンバランスの乱れに加え、職場や家庭でのストレスも加わります。複数の要因が重なった結果、不安感・焦燥感が長期化し、うつ病になってしまうのです。こうなると、心療内科や精神科で適切な治療が必要となります。